日曜日, 1月 06, 2008

選択的グレイリスティングの代名詞?

 JOMONインターネットが「S25R方式によるスパム対策を2007年10月27日から運用開始した」と告知している。もちろん、ISPで素のS25R方式を運用するのは無理がある。よく読むと、やっていることはRgreyと同じ選択的グレイリスティングである。しかし、RgreyではなくS25R方式の名を掲げている。S25R方式で誤判定からの救済のためにやることはグレイリスティングで自動化できると最初に気付いてRgreyを作られたのは佐藤さんだが、JOMONインターネットの人もS25R方式を調査した際にすぐに同じ発想を得たから、ベース技術であるS25R方式の名を掲げているのかもしれない。
 グレイリスティングという技術は、私がS25R方式を考案するよりも前からあった。しかし、当たり前のものとして広まってはいない。少なくとも国内では、採用するサイトの数において素のS25R方式が追い抜いているはずである。純粋なグレイリスティングは、初めてメールを送ってくるホストに無差別に応答コード「4xx」を返して受信を遅延させる。だから、知っていても採用に二の足を踏む人は少なくなかったのかもしれない。それがS25R方式との組み合わせで、逆引きできないか逆引き名がエンドユーザーコンピュータっぽいホストにのみグレイリスティングを適用する選択的グレイリスティングのアイデアになった時、「これなら使える」と思われたのだろう。つまり、後から現れたS25R方式がグレイリスティング技術に光を当てた。
 JOMONインターネットが、S25R方式をベースとした選択的グレイリスティングも「S25R方式」と呼んでいるのは、それはそれでうれしいことではある。ソニーの商標「ウォークマン」がヘッドホンステレオの、また、ヤマハの商標「エレクトーン」が電子オルガンの代名詞になっているようなもの。それだけ「S25R」の名前が有名になったということだろう。
 ところで、冒頭のJOMONインターネットのページでは、S25R方式の原典として私のサイトを紹介してくれてはいない。しかし、そのことに不平を言うつもりはない。JOMONインターネットの人は、原典を紹介しておこうとは思い至らないくらい、S25R方式の存在を常識だと思っているのかもしれないから。

0 件のコメント: