日曜日, 1月 06, 2008

多数派の圧力

 素のS25R方式を使っている受信側サイトにとって、リトライを短時間でやめる送信サーバやリトライしない送信サーバは困った存在である(前回の記事)。このような送信サーバがある以上、受信失敗の際のリカバリーを考えておくという危機管理で対処せざるを得ない。
 このような受信失敗をなるべくしないためには、S25R方式の導入者が相互協力することが望ましい。ホワイトリスト情報をに知らせていただき、私が公表する公開ホワイトリストを共有するのである。ただ、ホワイトリスト情報を寄せてくださるのはあくまでもボランティアの行動であり、S25R方式の導入者みんながそうしてくださるわけではないので、限界がある。
 もっとも、S25R方式で受信に失敗するような送信サーバは今後減っていくことが期待できる。S25R方式が広まれば、多くの人がS25R方式を知るようになる。送信サーバを立てる人は、S25R方式を採用するサイトにもちゃんと受信してもらうことを考慮せざるを得なくなる。すなわち、S25Rの拒否条件に引っかからない逆引き名を付けるか、受信側サイトのメールシステム管理者が気付いてホワイトリスト登録してくれるまでリトライすることである(逆引きを設定しても、受信側でDNS検索に一時的に失敗することがあるので、どのみちリトライは必要であるが)。さもないと、受信に失敗したサイトから問い合わせや再送依頼を頻繁に受けることになりかねない。
 私は、S25R方式を提案するにあたって、S25R方式によるスパム対策の都合のために送信側で逆引きを設定してほしいとは言っていない。送信側はまともなMTAを使っていてくれさえすればよいという前提で、正当なメールを誤判定から救済する努力は受信側だけで行うことをS25R方式のコンセプトとしている。実際のところ、受信側の努力で正当なメールを救済できないケースもまれにある。しかし、S25R方式を採用するサイトが多数派になれば、それは送信サーバにも送達のための相応の努力を求める無言の圧力になるだろう。

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