月曜日, 5月 14, 2007

バウンシングバック認証という無茶なやり方

 「ネオジャパンがスパム対策SaaSサービス,1通でもブロック漏れあれば返金」という情報を見つけた。韓国のヌリビジョンの「OptPlus」をサービス化したもので、スパム対策機能の一つとしてバウンシングバック認証というフィルタ機能を備えるという。
 バウンシングバック認証とは、初めてメールを送ってくる送信者に案内メールを返し、送信者がそれに従ってホワイトリスト登録手続きをすると受信者にメールが届けられるという仕組みだそうである。1月13日「厳しすぎる防御」で書いたmail.ruドメインのやり方に似て、無茶である。そりゃあ、ここまで無茶なスパム対策をすれば、「一通でもスパムを受信したら返金する」と豪語するほどの自信は持てるだろう。
 なぜ無茶か。メーリングリストや、メールマガジンや、オンラインショッピングの確認メールのことをちゃんと考えているとは思えないからである。
 メーリングリストの場合は、バウンスはメーリングリスト管理者へ行く。もしバウンシングバック認証を採用するサイトが増えたら、正当なメールを配信させるために、メーリングリスト管理者は大変な手間を強いられるだろう。メーリングリストの管理は相当神経を遣う仕事である。その上にさらに作業負担を強いられ、それが完璧にできなければ、配信を受けたかった受信者が受信できないことになる。
 メールマガジンの場合は、「このメールに返信されてもお答えできません」と断り書きがあることが多い。だから、バウンスを人が監視していないかもしれない。もしかしたら、バウンスを何度か受けたら自動的にアドレスをリストから削除してしまう仕組みのメールマガジンもないとは限らない。
 オンラインショッピングの確認メールの場合も同様である。確認メールの自動送信サーバの管理者が、バウンスを受けて一つ一つ手作業でホワイトリスト登録手続きをしてくれるとは期待できない。
 S25R方式にも、正当なメールを受け損なうリスクはある(2006年8月30日「リトライを短時間でやめるサーバ」、2006年9月1日「グレイリスティングを抜けられないサイト」)。しかし、そのようなまれなケースを除けば、送信者が追加の手作業をしてくれなければ受信できないということはない。正当なメールを救済する作業はもっぱら受信側で行うのがS25R方式のコンセプトだからである。
 S25R方式は、スパムの阻止率100%を達成することはできないが、正当なメールを受け損なうリスクの少なさにおいては、バウンシングバック認証よりもはるかにましである。

(この記事へ直接来られた方は、次の続編もご覧ください。)
やぎさんゆうびん問題
バウンシング・バック認証はやはりやっかい
バウンシング・バック認証の実装がヘボだと…
バウンシング・バック認証の破り方
「バウンシングバック認証」で検索上位
Opt Plusの機能を考える
「OptPlus」でも検索上位
バウンシング・バックはスパム受信を増やすかも
Opt Plusも失礼な受信拒否をしそうだ
バウンシング・バック認証のもう一つの穴
バウンシング・バック文例の問題点
バウンシング・バック認証に応じてもらえないケース
ペンディングキュー管理機能は使いやすいか?
メーリングリストはOpt Plusの鬼門
バウンシング・バック認証はタブーの技術
S25Rにもあるリスクだが…
Opt Plusの返金はない?
エクスパンションアドレスを設定していたら返金なし
Opt Plusの認証画面の脅し文句
Opt Plus売れていないんじゃないの?
(この記事を検索にかかりやすくするために、わざと「・」やスペースを挿入した題名に変えてあります。)

(関連記事)
日本の美徳
April fool

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