火曜日, 8月 08, 2006

リソース負荷

 「スパム対策のためだからといって、正当な送信側メールサーバにリソース負荷をかけるのは好ましくない」という考え方がある。「450」を返して受信を拒否すると、送信側メールサーバにメールを滞留させる、つまりディスクというリソースに負荷をかけることになるからだという。この考え方に照らすと、メールを受信してからメーラーやSpamAssassinなどでフィルタリングするのはよいが、S25R方式やグレイリスティングは好ましくないということになる。そうだろうか。
 私は、送信側の立場に立つならばこう考える。時には宛先サイトのメールサーバがダウンしていることもある。「4xx」を返されることもある(それは、グレイリスティングによるものかもしれないし、何らかのトラブルによるものかもしれない)。それで自サーバにメールが滞留することがある。それはあって当然のことである。滞留したメールのためにディスク領域が使われたところで何の実害もない。
 よしんば実害があったとしても、それは、自サイトのユーザーが大量のメールを送信してそれが滞留し、スプールあふれを起こした時だろう。それはこちら側の責任である。自サイトのメールトラフィックに耐えられるサーバを用意していなかったのがいけないか、あるいは、ユーザーが自サイトのサーバのパフォーマンスを考えずに大量のメールを送信したのがいけない。「宛先サイトがただちに受信してくれなかったのが悪い」などと言うのはお門違いというものである。
 だから私は、逆に受信側の立場に立つならば、送信側が正当なメールサーバであるかどうかを判断できるまで「450」を返して送信を多少待ってもらうことは罪悪でもモラル違反でもないと考える。
 ところで、インターネットの中継回線にかかるリソース負荷という観点で考えてみよう。今、インターネットのメールトラフィックの大半をスパムが占めている。中継回線がごみトラフィックであふれれば、善良なユーザーの通信に影響をきたす。また、ISPや中継ネットワーク事業者がごみトラフィックのせいで回線を増強しなければならなくなる。これは切実な実害である。
 受信してからフィルタリングする方法では、中継回線上のごみトラフィックは減らない。それに対してS25R方式やグレイリスティングでは、正当なメールサーバであろうと推定できない送信元に対して「450」を返すことによって、多くのスパムのメッセージ本体の伝送を食い止めることができる。つまり、中継回線上のごみトラフィックを減らすことができるのである。時には正当な送信側メールサーバに対して、実害のないリソース負荷を多少かけることがあろうとも、この方がよほどインターネットの公益のためになる。

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